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フェイトさんが寿退職するようです(3)
それは…最初はとてもささいな…ボタンの掛け違いでした…
大切な人だから…かけがえのない人だからこそ…傷つけたくない…
いっそう臆病になる心がありました…
でも…信じて欲しい…
誰よりも大切だから…好きだから…私は…悪にもなれるのです…
 
フェイト・T・ハラオウン…帰ります…あの人の元に…


【形式:ネット掲示板投下形式】
【原作改変度:★★★☆☆】
【シリアス度: ★★☆☆☆】

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深夜の機動6課官舎内
――――――――――――
―――――
――
 
はやて 「(カチャ カチャ カチャ…ッターン!)や、やった…ほ、ほとんどMission impossible状態やったけど…ようやく終わったでホンマ…ふーっ…(チラッ)

時計 (夜
1115分ぐらいをお知らせします)

はやて 「…なんとか日付が変わらんうちに帰れそうやな…シャマルにメール打っとかなアカン…おし!ほな、リイン帰ろか?」

リインフォースⅡ 「スースースー」

はやて 「アカン…完全に燃え尽きとる…しかも
真っ白に…でもリインはええわなあ…リインハウスがあるからどこでもバタンキュー出来るし…」


<
只今収納中…暫くお待ち下さい… >


はやて 「これでよしっと…なんか家を家に持って帰るっちゅうのもビミョーな感じやけど・・・まあしゃーないか…それにしても…今日はあのウシ女のせいでホンマに酷い目に遭うたわ…今日は忙しすぎてなーんも出来へんかったけど…(グッ!拳を握る音)」

はやて 「そのうち広域結界張ってガッチガチのバインドかけてイヤっちゅうほどモミモミしたんねん…へっへっへ…泣こうが喚こうが誰も来いへんでえ…フェイトちゃん…覚悟しいや…へへっ…へへへっ…」


<
妄想中…Now Loading>


シャリオ 「あれ?八神隊長。まだこちらにいらしてたんですか?

はやて 「ん?あ!シャ、シャーリィ!はっ!ジュル!ジュル!ジュル!」

シャリオ 「お仕事…大変だったんですね…ヨダレが垂れるほど…(また良からぬことを考えていたんだろうなあ…)」


<
只今、現実に復帰中。暫くお待ち下さい >


はやて 「シャ、シャーリィもこんな遅くまで大変やなあ。若い人は仕事も大切やけど出来るだけはよ帰るようにせなアカンよ?仕事もプライベートも両立できてホンマの一人前なんやから。ま、これは私たちからの最後の教えやと思うて頭の片隅にでも置いておくんやで」

シャリオ 「はい。ありがとうございます。(クスクス)」

はやて 「な、なんやの?盛大に思い出し笑いなんかして…」

シャリオ 「いえ…隊長がフェイトさんと同じことをおっしゃるから…その・・・ついおかしくって…」

はやて 「フェイトちゃんと私が?そうか…ふふふ…まあそうやろなあ…私らは結構長い付き合いやし…裸の付き合いっていうの?ああいうの…中学校の時とか一緒にお風呂に入って洗いっことかしとったから…そら考えも似てくるわ…へっへっへ」

シャリオ 「(タ、タジ…)や、八神隊長…?(思ひ出話がぜんぜん美しく聞こえない不思議…)」

はやて 「そんなことはこっちに置いといてっと…あと少しでこの官舎ともお別れやな…
JS事件関係の残務処理と特殊遺失物捜査の引継ぎが終わればみんなそれぞれ新しい配属先に行くことになるしなあ…このメンバーで集まることはこの先…もうないかも知れへん…(しみじみ)」

シャリオ 「はい…そうですね…(しみじみ)」

はやて 「そや…シャリオは何かフェイトちゃんから聞いてないんか?(よう見たら…シャリオもなかなかええモン持っとるやん…)」

シャリオ 「え?えっと…何をですか?(セクハラ対策のことかな…)」

はやて 「何をって…その…あの…引継ぎとか?」

シャリオ 「引継ぎとおっしゃいますと本局へのですか?デバイス開発関係のデータ整理と部隊執務関係のデーターベース技術移管の件でしたらフェイトさんやなのはさんと相談しながら進めてますし…」

はやて 「い、いやそっちの方やなくてやな…(みんな仕事の話ばっかやな…上の方が仕事中毒っちゅうのもあまり褒められたもんやないな…)ほら…その…あれやフェイトちゃん個人から何かめでたいっていうかな」

シャリオ 「え?めでたいことですか?データーベースのクエリー関係の最適化とか執務官試験のこととかでアドバイスはよく頂いてますけど…個人的にっていうのは一体何のことだか…」

はやて 「あ、な、何もないんやったらええよ!ははは!大したことやあらへんから!あっ!もうこんな時間やな!ほ、ほな私はみんなが待ってるから帰るわ!シャーリィもあんまり無茶したらアカンよ?それじゃ乙カレー!
(イソイソ)

シャリオ 「は、はあ…(???)」

はやて 「フェイトちゃんは引継ぎがどうのこうのとか言うとったのに…あの様子やとシャーリィはまだ何も聞かされてへんみたいやな…ならティアナに探りを入れても恐らく無駄足や…どういうことやろ…これは…何かあるな…(グウウウウ!)」

はやて 「あ、アカン…おなかペコペコでこれ以上何も考えられへん…ええい!なんかだんだん腹も立ってきたわ!こうなったら直接フェイトちゃんの相手に確かめたろかホンマ!」

なのは 「はやてちゃーん!
(パタ!パタ!パタ!)

はやて 「う、うわー!!うわー!!な、なのはちゃん!!」

なのは 「ど、どうしたの?そんなに驚かなくたって…」

はやて 「あ…ははは…ご、ごめんな…その…あれや…考え事をしてたから…その…ちょっとビックリしただけや。な、なのはちゃんも今帰りなんか?」

なのは 「うん。いま引き継ぎ書と来年の訓練生の教導メニューの両方を作ってるから忙しくって…そんなことより…はやてちゃん…ホントに大丈夫?なんか…顔とか耳とか真っ赤だよ?熱とか出てるんじゃない?」

はやて 「あ…い、いや…何でもあらへんよ!ちょっと仕事し過ぎたから知恵熱が出てるだけやと思うわ…そ、それにしても…なのはちゃんは相変わらず忙しいなあ。ははは…(ヒクヒクヒク)」

なのは 「朝練と深夜残業の繰り返しっていう今の生活に私はもう慣れてるから大丈夫だけど…(じーっ)」

はやて (私の挙動がめっちゃ怪しいんですね…わかります…)

なのは 「この前は…ホントにごめんね…私の誤射のせいで今日も遅くなったんでしょ?レイジングハートと一緒に心配してたんだ…」

はやて 「ああ!あ、あれは意外と大したことなかったから…そんなに気に病む必要はないよ。ちょっと山が2,3個吹っ飛んだだけやし」

レイジングハート 「…(ちょっと…なのか?それ…)」

なのは 「そっかぁ。それを聞いて安心したよ。エヘッ」

レイジングハート 「…(えっ?)」

はやて 「あ、もうこんな時間や!シャマルも戸締り出来なくて困ってるやろうし…ほ、ほな…私はこれからタクシー拾って帰るわ!じゃあお疲れさま!
(シャキーン)

なのは 「あ!はやてちゃん!」

はやて 「は、はい!(ドキドキ)」

なのは 「・・・よかったら一緒に帰らない?わたし今日は車で来てるからはやてちゃん家まで送っていくよ?」

はやて 「い、いや!ホンマに気遣わんでええから!それに私ん家はミッドの郊外やし、なのはちゃん家とはちょっと方向違うし!」

なのは 「はやてちゃんこそ遠慮しなくていいんだよ?今の時間帯はタクシー拾うの難しいだろうし…それに最近お互い忙しくてあんまり話せなかったから…」

はやて 「そ、そんなことは…」少し・・・お話しようか・・・


ざわ・・・ざわ・・・
         ざわ・・・ざわ・・・


なのは 「少し…お話しようか…?」

はやて 「はい…お願いします…(なに?この絶望感…)」
 


 
官舎前の職員専用駐車場
――――――――――――
―――――
――
 
はやて 「はあ~(なんで私がこんなに気を遣わんとあかんのやろ…)」

なのは 「そういえばはやてちゃんはまだ私の車見たことなかったよね?」

はやて 「え?ああそうやね。フェイトちゃんからなのはちゃんが一念発起して車を買ったっていう話は聞いてたんやけど」

なのは 「あそこに停まってる白い
SUVがそうだよ」

はやて 「うわっ!これ新車?ピッカピカやん!」

なのは 「そうだよ。ファミリーカーだからフェイトちゃんのに比べるとちょっとおばさんっぽいかもしれないけど…でもこれでも結構スピード出るんだよ?」

はやて 「ふーん…そうなんや…私、乗り物にあんまり興味ないからよく違いがわからへんけど…やっぱり新車はええなあ…見たら私も欲しくなるわ…」

なのは 「はやてちゃんも免許とればいいのに」

はやて 「せやなあ…でも私は結構ものぐさやからなかなかモチベーション上がらへんのよ…気がついたらいっつも仕事やし…いざとなったら飛んで帰ればえっかあ、なんてな(ニコッ)」

なのは 「なんかそれってはやてちゃんらしいね。あ、はやてちゃん、もう鍵開いてるよ?」

はやて 「ああごめんごめん!うわ!車内は広々としててええなあ!フェイトちゃんの車とはまた趣(おもむき)がぜんぜんちゃうなあ」

なのは 「ホント?車高(天井)が高いからそう感じるんじゃないかな。すぐエアコン効くと思うから」

はやて 「後部座席のチャイルドシートはヴィヴィオちゃんのやろ?」

なのは 「うん、そうだよ。フェイトちゃんからのプレゼントなんだ(ハート)」

はやて 「ふーん…そうなんや…(ぐううう!)あ、アカン・・・///」

なのは 「おなかすいてるんだね…はやてちゃん…じゃあ、はやてちゃん家までの
Fastest Lap叩き出しちゃうね?」

はやて 「え?普通でかまへんよ?ここまで遅うなったら急いでもあんまり変わらへんし」

なのは 「うん♪分かった☆じゃあ安全運転だね
(ニッコリ)

はやて 「ははは。ごめんななんか。送ってもらう身分やのに注文つけたみたいで…(フェイトちゃんもそうやけど…なんで空戦魔道士はこうもスピード狂が多いんやろか…)」

なのは 「大丈夫!じゃあ、日付が変わらないうちに送り届けるってことで!」

はやて 「うん♪そうそう…って…ん?私ん家は郊外やで?(なんか…悪い予感しかしない…)チラッ」

なのは車の時計 (午後
1151分ぐらいをお知らせするぞ。ゴルア)

はやて (残り
9分で郊外までって…どんな無理ゲーやねん…ワープする勢いやないとアカンのとちゃう?)

なのは車 「ぐおおおおおん!ぐおおおおおん!(咽び泣くバルブ音。唸るイグゾースト。なのはさんパネぇっす!!)

はやて 「…あの…もしもし?な、なのはちゃん?(ファミリーカーでこのエンジン音はおかしいやろ…どんだけアクセル踏んでんねん…)」

なのは 「全力全開!!フルスロットル!!
但し安全運転で…

はやて 「ちょい待ち!!なんで最後の方の声が怪しい金融業者みたいに小さくなるねん!!」

はのは車 「キュル!キュル!キュル!キュル!(鼻をつく焦げたタイヤの芳香が夜のミッドの空気に溶け込む…なのは△!)」

なのは 「いっけえええ!!シューーーート!!」

はやて 「シュートちゃうわ!!全然分かってへんやん!!自分!!うわあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


<ドップッラー効果の影響で後半は音色が変わっています。予めご了承下さい>

 

 
 
ミッド郊外 はやての家の近く
――――――――――――
―――――
――
 
なのは 「スピード抑え目だったから少し時間がかかっちゃったけどあの交差点を曲がるともうはやてちゃん家の前に出るよ?」

はやて 「お…おおきにな…なのはちゃん…(こ、これでスピード抑え目とか…普段、どんだけ出してんねん…死ぬかと思ったわ…)」

なのは 「っていうかシートベルトに抱きついててもあんまり意味ないよ?」

はやて 「今日…溺れる者はワラをも掴むの意味がめっちゃ分かった気がするわ…」

なのは 「また送るからいつでも言ってね?(ニコッ)」

はやて 「うん、もう頼むことないと思うけど万が一にその時がきたらお願いするわ
(ニコッ)

はやて
/なのは 「…」

なのは 「よーし!それじゃあ…ターン…レーーーフトーー!!」

はやて 「ちょー!!目的地近くの交差点くらい普通に曲がれへんのん!!自分!!」

なのは 「夜のドライブ、なんか楽しいね!」

はやて 「ぜんぜん楽しゅうないわ!アホー!ふぅ…しかしまあ…なんやなあ…なのはちゃんもフェイトちゃんも似た者同士っていうか…そういえば二人ともアクセの好みとか恋ばな関係とかそっくりやもんなあ…」

なのは 「そうだね。二人でお買い物に行ってもいいなって思うものがよく被(かぶ)るんだよ。だからプレゼントする時は全然悩まないんだ(ニコニコ)」

はやて 「そうなんか…その辺は私となのはちゃん達は全然違うなあ…(せやから…余計に聞いとかなアカンのやろなあ…)」

はやて 「あの…あのな…なのはちゃん…」

なのは 「あの…はやてちゃん…」

なやて
/なのは 「!!」

はやて 「あ…な、何?なのはちゃん」

なのは 「あ、いや…は、はやてちゃんこそ…何?」

はやて
/なのは 「…」

なのは 「私はただ…はやてちゃんの様子がおかしかったからどうしたのかなって…話を聞かせてもらえるなら聞きたいなって…私…はやてちゃんのことが心配だから…悪魔でもいい…だから悪魔的にでも聞…」

はやて 「いや…めっちゃ普通に話せるから悪魔的に聞かんといてくれへんかな?
() この辺一帯の住宅地が農地になるのは困るってレベルちゃうよ?(私ん家吹き飛ぶやん…)」

なのは 「はやてちゃん…」

なのは 「別に…隠し事してるわけやないんやけど…聞きにくくてな…この際やから率直に聞くけど…あの…なのはちゃん…ゆ、ユーノ君とは最近どうなん?」

なのは車 「ぐおおおおおおおおおおん!!(アクセルベタ踏み!さすがなのはさん!普通の女性ドライバーでは出来ないことを平然とやってのける!そこに痺れる!憧れるぅ!)」

はやて 「・・・なんか・・・いま・・・凄い勢いで私ん家が目の前を過ぎ去って行ったような気がするねんけど・・・」

なのは 「うん。とっても元気だよ?ユーノ君#。ヴィヴィオもすっかり懐いてるし、よく休みの日とかに遊園地に連れて行ってくれてるし#。この前のお休みはフェイトちゃんとヴィヴィオとユーノ君と私の四人で一緒にファミレスでご飯食べたんだよ?###」

はやて 「…笑顔で切れられても怖いだけなんですけど…」

なのは 「どうして私が?わたし全然切れてないよ?##」

なのは車 「ぐおおおおおおおおおおおおおおん!!」

はやて 「めっちゃ切れてるやん…(ていうか…なんでお家が遠ざかってんの?)」

なのは 「切れてなーいってば##」

はやて 「今…ちょっと小力を意識したやろ?自分…まあええわ…この前のなのはちゃんらしくない誤射…どうやらその辺と関係ありそうやね?(チラッ)」

なのは 「・・・(シュンッ)」

はやて 「(図星、か…)
JS事件以来…久しぶりになのはちゃんとフェイトちゃんが出撃したあの日のことや…二人に事情を聞いてもなんか腑(ふ)に落ちんというか釈然とせえへんというか…まあお蔭で簡単な報告書の筈が今日の今日まで延び延びになってもうたわけやけど…」

なのは 「・・・ごめん、ね…はやてちゃん…迷惑かけて…」

はやて 「安心してや。これは6課隊長八神はやてとしてではなくて、一緒にお風呂に入ったりしてた…はやてとして聞いてるんや。もっとも今更新しい事実が分かったところで本局の方にはもう書類出してもうたからなーんにも出来へんけどな。へへへ」

なのは 「はやて…ちゃん…」

はやて 「無理してみなまで話さんでええけど…なんというか…いい友達、なんやなあ…ユーノ君とは…」

なのは 「うん…とっても仲のいい友達、だよ…」

はやて 「そうか…(笑顔が痛いで…なのはちゃん…こんな顔見せられたらフェイトちゃんやなくても…ユーノ先生え・・・はあ~そんなやから一部ファンから淫獣言われるんやで…自分…)

ユーノ 「は……ハクチュン……」

はやて (それにしてもフェイトちゃん…それが…それが本当にフェイトちゃんの答えなんか…?それでええんか?ホンマに…)
 



同刻。淫獣  ユーノ先生の自宅
――――――――――――
―――――
――
 
ユーノ 「…参ったな…考古学学会の論文の締め切りが近いのに…この年代の文献データがごっそり抜けてるよ…はあ…」

ドアフォン 「ピンポーン!」

ユーノ 「ん?誰だろう…(おや、こんな時間に来客が…)はーい!どちら様ですか?」

フェイト 「私…です…」

ユーノ 「フェイト…待ってて。今すぐ開けるから…」

フェイト 「…」

ユーノ 「どうしたの?こんな夜更けに…」

フェイト 「来てしまいました…あなたとお話したくて…」
 



――――――――――――
―――――
――
 
あ、ありのままに今起こったことを話すわ…

なのはちゃんに家まで送ってもらった筈やのに気がついたらミッド郊外の臨海公園の前に立たされてた…

な、何を言ってんのか分からへんとは思うけど、私も何をされたのかさっぱり分からへんかった…
超絶オーバーランとかオーバーSクラスの魔力の暴走とかそんなチャチなもんじゃ決してあらへん…

もっと恐ろしいものの片鱗を味わったんや…
 

はやて 「…という訳やからチャリンコで迎えに来てくれへん?シャマル」

シャマル 「いやそれ無理(キッパリ)」


フェイトさんが寿退職するようです(3) 完 / つづく

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