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フェイトさんが寿退職するようです(2)
それは…小さなきっかけから始まりました…
生まれて始めて…対等な立場でかけてもらったあの言葉…
私のとてもとても大切な…宝物になったあの言葉…
「友達に…なりたいんだ…」
それが無軌道だった私の支えにどれだけなったことでしょう…
あれから幾たびもの季節(とき)がながれ、出会いと別れを繰り返しました…
でも…私は…いまだにこの一言を口にする勇気がありません…

フェイト・T・ハラオウン…始めます…


【形式:ネット掲示板投下形式】
【原作改変度:★★★☆☆】
【シリアス度: ★★☆☆☆】

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八神はやてと愉快な仲間達の家 in ミッド
(リビングルーム)
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シグナム 「…なるほどそういうやり取りがお前と主はやてとの間であったのか…それで?」

フェイト 「ジュル!ジュル!ジュル!ズズズ!(空になったコップを未練たらたらにストローで啜る音)」

シグナム 「おい…聞いているのか?テスタロッサ…#」

フェイト 「え?何?何か言った?」

シグナム 「いや、だから…なんで私のところに来るんだと聞いている…」

フェイト 「それは…その…な、なんとなく…ってやつかな?エヘッ☆(自宅警備員だからに決まってるだろ常考とか言えないし…)」

シグナム 「まあいい…だが、お前も知っての通り我々ヴォルケンリッターは主はやての守護騎士…主はやてが納得していない以上、私も他の連中もこのへっぽこ書類には署名出来ないぞ?」

フェイト 「は、はあ…
(シュン…)

ヴィータ 「ドタ!ドタ!ドタ!おいシグナム!」

シグナム 「何だヴィータ…少しは大人しく出来ないのか?今、私は見ての通り来客中だ。後にしろ」

ヴィータ 「ちぇっ!フェイトとは知らない仲じゃあるまいし、そんなに畏(かしこ)まらなくたって別にいいだろ。冷凍庫の中のお前のアイス食っていいか、聞きに来ただけじゃねーかよ!」

シグナム 「お前…さっきもシャマルの分を食ってただろ?夕食前なのにまだアイスを食うつもりなのか?飯が食えなくなっても知らんぞ」

ヴィータ 「うっせえ!アイスとご飯は別腹なんだよ!」

シグナム 「しょうがないやつだな…主はやてとリインフォースⅡが帰って来るまでもう少し待てないのか?」

ヴィータ 「はやて達は今日帰りが遅くなるってさ!シャマルがさっき言ってた!あー腹減ったあ!ちくしょー!」
どうしてこうなった…
シグナム 「(ぐわっ!)な、なんだと!?それは本当なのか!?(き、昨日はあの忌まわしい物体Xのせいでまともに食えなかったというのに…)」

ヴィータ 「ああ、本気と書いてマジ!何かアポなしで急に割り込んできたバカがいてそいつのせいで昼間の仕事がまだ滞(とどこお)ってるんだってさ!」

フェイト 「それってマジなの?全く…非常識な人もいるものねえ(アッサリ) ねえ、バルディッシュ」

バルディッシュ 「
Y, YesI think so…(お前が言うな…)」

シグナム 「お、おのれっ!ひょっとして我らを兵糧攻めにするための敵の策略ではあるまいな?こうしてはおれん!真偽を確かめねば!(ぐぅぅぅぅ!)レヴァンティン!!」

レヴァンティン 
Jowohl!!」

ヴィータ 「おいシグナム…一人で勝手に気合入れるのは構わねえけど家の中で変身すっと埃が舞ってまたシャマルが切れるぞ?」

シグナム 「うっ!しまった…そうだったな…レヴァンティン!蒸着(※
ギャバン参照)中止だ!」

レヴァンティン 「
Ja! Alles Klar!

フェイト 「シャマルさんが怒ることってあるの?私、見たことないんだけど…」

ヴィータ 「ああ。家ん中ではしょっちゅう切れてるぞ。はやてがいない時は家の面倒はみーんなシャマルがみてるからな。料理以外は…」

フェイト 「ふーん…そうなんだ…人は見かけによらないのね」

シグナム 「ああ…覚醒モードのシャマルはある意味で八神家最強を誇るからな…我々も逆鱗(げきりん)に触れないように家の中では出来るだけ行儀よくするように心がけている…」

ヴィータ 「あ゙ー!!!てめー!!!」

シグナム 「おい!ヴィータ!家の中で
50db以上の音を出すなとあれほど言ってるだろ!ご近所迷惑だとシャマルが切れたらどうするんだ!」

ヴィータ 「それどころじゃねーよ!おい!ザフィーラ!おまえ散歩(そと)から帰ってきたんならちゃんと自分の足くらい拭(ふ)けよ!カーペットに足跡が付いてるじゃねーかよ!」
自分は…犬っすから…
ザフィーラ 「チラッ…犬に無茶を言うな…」

ヴィータ 「お、お、おま…
(ブチブチ#)

シグナム 「突っ込み待ちか?ザフィーラ…おまえ犬じゃないだろ…根本的に…自分で玄関を開けて入ってくる犬がいるか?」

ザフィーラ 「いややっぱ犬だな…(獣人よりペット的な方が家事当番から外れて美味しいです)」

シグナム
/ ヴィータ (こ、こいつ…確信犯か…#)

ザフィーラ 「ん?そんなことより床の上に書類が落ちてるぞ?大事なものじゃないのか?(ガサゴソ)」

シグナム 「おい…咥えるなザフィーラ…それはテスタロッサの持ってきた大事な書類だ」

ザフィーラ 「婚姻届?そうか…めでたい話をしてたのか…チラッ…ブーーーーーーーー!!(ま、まさか…こ、これがフェイトの相手!?)」

シグナム 「いいからこっちに寄越せ。それから鼻水をつけるな。汚いだろ。今、この書類に証人として署名するかどうかでテスタロッサと話をしていたところだ」

ザフィーラ 「い、いや…シグナム…証人以前に…これは……」

ヴィータ 「いいから犬はあっちに行ってろ!これはあたし達大人の問題なんだよ!(ザフィーラざまああああ!)」

ザフィーラ 「つか…大人で括(くく)ったらお前が一番アウトだろ?ヴィータ」

ヴィータ 「えっ?」

シグナム 「その通りだ。万年幼女はあっちでシャマルの手伝いでもしてろ。邪魔だ」

ヴィータ 「ええっ?」

フェイト 「ごめんね。こういう話はまだヴィータちゃんにはちょっと早いかもだし…」

ヴィータ 「えええっ!?(ザフィーラをハブろうとしたらいつの間にか自分がハブってたでござる!)」

シャマル 「きゃー!!だ、誰が今日のお風呂当番なの!?お湯が…お湯が溢(あふ)れてるじゃない!!ちゃんとレベルセンサー入れてたの!?(お風呂場なのでエコーがかかっていい声になってます)」

アギト 「あ、あたいじゃないよ!!これは!!(お風呂場なのでエコーがかかっていい声になってます)」

シグナム 「チラッ」

ザフィーラ 「チラッ」

フェイト 「(便乗して)チラッ」

ヴィータ 「な、なんだよ…おまえら…何が言いたいんだよ!」

シグナム 「妙な胸騒ぎがするな…」

ザフィーラ 「ああ…これが嵐の前の静けさ、という奴か…」

フェイト 「普段怒らない人が怒ったらやっぱり怖いわよね…限度がないっていうか…なのはみたいに…」

シグナム 「うむ…それは実にいい例えだ…テスタロッサ…」

ヴィータ 「(ぐっ!)ええい!!わーったよ!!行くよ!!シャマルを手伝えばいいんだろ!!くそったれ!!ドス!ドス!ドス!」

ザフィーラ 「やはりヴィータの様子を見に行く…ふて腐れた態度が余計火に油を注ぐ結果になるかも知れん…それに凹むと後が面倒だ…(例の件のことも考えるとここは空気を読んだ方がよさそうだしな…)」

シグナム 「ああ…そうしてくれ…頼んだぞ…」

ザフィーラ 「心得ている…(ペタ…ペタ…ペタ…)」

シグナム 「#おまえ…ついでに風呂場で足を洗って来い…(だ、大丈夫だろうか…あの二人をシャマルのところに行かせて…)」

フェイト (じーっ)

シグナム 「ん?ああ…済まんなテスタロッサ…折角、相談に来てくれたというのに…我が家は見ての通りの大家族…しかもそれぞれが個性の塊みたいなものだからどうにも収拾が付かん…ふっ」

フェイト 「そうかな?それぞれが上手い具合に役割分担っていうか…支え合ってるって感じがするよ…なんか…とても温かい感じ…」

シグナム 「そうか…そう言ってもらえると助かる…なんと言っても我々は長い付き合いだからな…まあ座れ…」

フェイト 「うん…」

シグナム 「転生に告ぐ転生で我らの主は度々変わったが私たちは思えばずっと一緒に過ごしてきた…苦楽を共にしてきたという実感はあまりないが…まあ…一言では片付かん関係だな」

フェイト 「一言では片付かない関係、か…」

シグナム 「そうだな、人間の言葉にすれば腐れ縁と言ったところか。はははは!」

フェイト 「そんな関係でも羨ましいよ…お互いの気持ちが分かり合えてるっていうのは…」

シグナム 「ん?どういうことだ?お前にも多くの仲間がいて、そして家族もいる…更にお前を必要としているエリオやキャロ、そして何よりもなのはやヴィヴィオがいるではないか?何がそんなに羨ましいんだ?それに分かり合えない仲でもあるまい」

フェイト 「うん…そうだね…分かってる…分かってるんです…自分でもとても素晴らしい人たちに囲まれて凄く恵まれていることは分かってるつもりなんです…分かってるんですけど…(ポタッ)」

シグナム 「テスタロッサ…お前…」

フェイト 「ご、ごめんなさい…でも…そんな私の…私の大切な宝物が…もし…突然なくなってしまったらどうしようって考えると…とても不安なんです…だから…確かな何かが欲しいって思うのは…私のわがままなんでしょうか…(ポタッ…ポタッ…)」

シグナム (執務官として卒なく仕事をこなし…時には自ら陣頭に立って並みいる敵を薙ぎ倒す…完璧であるが故に弱さをさらけ出す事も出来ず…気丈に振舞うしかない…複雑なものだな…人間という生き物の生き方は…)

シグナム 「お前の気持ちはよく分かった…テスタロッサ…このへっぽこ書類は烈火の将シグナムが騎士の剣に賭けてしかと預かろう…」

フェイト 「シグナム…」

シグナム 「それ以上言わなくても分かっている。私からも主はやてに時期を見計らって話してみよう」

フェイト 「ありがとう…ございます…」

シグナム 「参ったな…ほら…汚れてはいない…これで拭け…」

フェイト 「意外と…かわいいハンカチをお持ちなんですね…」

シグナム 「そ、それは!その…主はやてからの頂き物であってだな…ま、まあ…なんだ…私が選んだわけではない…///」

フェイト 「ふふ…ふふふ…」

シグナム 「なんだ…泣いたと思ったら今度は笑うのか…ふっ…本当に忙しいやつだ…」

フェイト 「あの…シグナム…」

シグナム 「なんだ?」

フェイト 「私たちの関係って…何なんでしょうね…?」

シグナム 「関係?こいつはまた難問だな…今まであまりしっかりと考えたことはなかったが…あえて言うなら…解散予定の機動
6課の元上司と元部下…」

フェイト 「…そう…ですよね…」

シグナム 「ふっ…まあ…それに加えて…お前も私の中では一言では片付かない関係…つまりはそういうことだ…さて、すっかり遅くなってしまったな。ついでと言ってはなんだがテスタロッサ、おまえもここで夕食を食っていくといい」

フェイト 「え?で、でも…」

シグナム 「なに、遠慮はいらん。もっとも…みんな給料日前で冷蔵庫の残り物を適当に放り込んだ鍋料理しか振舞えんがな…(今日はもうさすがにキムチはないだろうが…)」

フェイト 「あ、あの…シグナム(オズオズ)」

シグナム 「なんだ?テスタロッサ」

フェイト 「私…キムチ鍋でもぜんぜん大丈夫だから…気を遣わないでね…」

シグナム 「(おい#)…聞かなかったことにしておこう…」

シャマル 「みんなー!おまたせー!今日は湯豆腐でーす!お金が無いからホントにお豆腐しかありませーん!はやてちゃんが先に食べといてっだって!」

ヴィータ 「おっしゃー!!メシきたー!!」

シグナム 「この際贅沢は言わん!昨日の雪辱!この豆腐で果たさせて貰おう!」

アギト 「姉御!あたいに豆腐取ってくれよ!じゃないとあたいが茹でられちまうよ!」

ザフィーラ 「犬に熱いものを食わすとか情弱にもほどがあるぞ!食うけど…」

シャマル 「ちょっと!ちょっと!みんな落ち着いて!はやてちゃんとリインちゃんの分は残しておいてってば!」

フェイト (すごく・・・戦場です・・・)

フェイト 「・・・ごめん…わたし・・・やっぱ帰るわ・・・(どうして夕食でシールド張ってんのよ…)」
 


それに…私が帰るべき場所は…一つだから…




フェイトさんが寿退職をするようです(2) 完 / つづく
 

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