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司書長の補足資料 / アルトセイム郷土史
闇を貫く雷神の槍、夜を切り裂く閃光の戦斧…それは雷神フォノンの血族とその眷属のみに着用が許された紋章であり、雷神を守護した黄天の魔導士たちの戦旗であった。

古代の人々は空天をほとばしる雷光をフォノンが邪悪を祓(はら)う時の神槍の投擲と考え、天と地の狭間で響き渡る轟雷は荒ぶる戦斧が堕落する人間たちに戒めを与えるためと考えていた。そして、金色の光をその身に纏い、雷鳴のような衝撃波を従えて天を駆け巡る黄天の魔道師たちは雷神フォノンの御遣いとされ、のちに雷神フォノンを中心にした土着の信仰として主にアルトセイム一帯で成立した。主上なる神を主神とするミッドチルダ大陸北方の諸族と信仰と地下資源を巡って以後、数百年の長きに渡って抗争が繰り広げられることになる。

クラナガン大公オブライエン2世大小300あまりの封建領主たちによって分割されていたミッドチルダに統一国家が生まれる契機となったのが古代ミッドチルダ史における不世出の英雄クラナガン大公・オブライエン2世の台頭である。大公の大陸統一事業は近代国家への道標を示したという点で評価されるが、長い戦乱を生み出した統一戦争の引き金を引いた張本人でもあり、その功罪は現在でも尚、議論の対象になっている。






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アルトセイム侯カスティルローゼ古の大魔道師カスティルローゼはアルトセイム一帯を治めたミッドチルダ南部の雄であり、不要な戦乱を避けて早くからクラナガン大公の盟約者として南方系民族でありながら北方諸族の政権内で大いに権勢を奮った人物である。特に侯が力を注いだのが紛争の火種となっていた南北宗教の融和である。雷神フォノンの7人の娘達が”主上なる神”を主神とするアルハザードの多神教の主だった神々との間で”政略結婚”が聖典編纂の過程で進んだのはその為であり、これが今日の古代ミッドチルダ神話の礎になっている。しかし、北方諸族は事ある毎に宗教融和政策に反発し、南方系の”フォノン”の完全な国教からの排斥を訴え続けた。特に攻撃の材料とされたのが後に述べる”人類の始祖問題”である。


侯は北方諸族の間で当たり前になっていた、魔法が使えない人間の奴隷化、を全廃することを訴え続けていたため、この点でも北方諸族と鋭く対立していた。そこで侯は人類の始祖として”ヒマノス(神の奴隷)”と”女神”を宗教上の解釈に用いることを啓蒙的政策の一環として提案したのである。ヒマノスは北方系の”主上なる神”が作り出したとされる、奴隷、すなわち魔法の使えない人間の暗示である。これに自らの出身である南方系のフォノンの末娘、深愛の女神フェリノ(現代ミッド語では Fate / 諦観的運命に相当する語)を娶わせて謙ったのは政権内で多数派を占める北方諸族に対する侯の遠慮の表れと言われている。しかし、クラナガン大公の寵愛を受けていた北方系のアルハザード神教の大神官ポーは尚も激しく反発し、その諌言により侯はついにプレアデス大神殿の礼拝に訪れたところをクラナガン大公によって謀殺された。

プレアデス大神殿の焼失報復のために北上したアルトセイム軍とそれを迎え撃ったクラナガン大公軍との間で激戦が繰り広げられたがアルトセイム軍は破れた。その後、首都クラナガンにあったフォノンの聖地(プレアデス大神殿)には火がかけられて七日にわたって燃え続け、大公軍によって徹底的に破壊されて歴史の舞台からその姿を消した。戦いに勝利したクラナガン大公は勢いに乗じてアルトセイムを征服し、侯の所縁の人間は赤子に至るまで容赦なく煮えたぎる大釜の中に追い落とされて皆殺しにされたと伝わる。

大公の非道に立ち向かった黄天の魔道師たちも衆寡敵せず各地で玉砕、そして中立を保っていた者も捕らえられて、以後、激しい弾圧を加えられることになった。この時に黄天の魔道師たちの多くが命を失い、フォノン直系の術式はそのほとんどが失われた。ミッドチルダの黄道系魔法においてフォノンの術式は古代のこの時代からレアスキルと見なされていたようであり、事実、追捕の勅令が以後何度にもわたって同地には下されている。


近代の研究によって、この迫害を辛くも逃れたカスティルローゼ候の庶流が大公の支配の及ばない別次元世界“ロルマニ
戦勝記念スタジアム内のクラナガン大公像ア”まで落ち、そこでロルマニア風の苗字、”テスタロッサ”を名乗り、魔道師として雷神フォノンの系譜(術式としての直系)を後世に伝えていたことが明らかになっている。この魔道師こそ、後に”黄天の大魔道師”と言われたジュリアス・テスタロッサ卿であり、亡命の地ロルマニアにおいて卿は貿易商を営んでいた富豪ディーノ・スカリエッティの支援を受けた。そして、封建領主たちを全て服従させて古代ミッドチルダに統一国家を成立させたクラナガン大公の死後、再びアルトセイムに聖職者として復帰して“時の庭園”の復興に尽力したと言われている。

”雷神フォノン”と“名も無き乙女”の信仰を大公によって禁じられていたアルトセイムはテスタロッサ卿の努力によって復興し、そして厳しい弾圧を受けて各地に散り散りになっていた“黄天の魔道師”達が集まるようになり、いつしか巡礼地の一つに数えられるようになった。この功績によってテスタロッサ卿の血統はやがて雷神の眷属(※ 魔道師は別名、神々の眷属と言われる場合がある。その名残でミッド出身の魔道師は“盟約の儀”で術の研鑚を主上なる神の前で誓う風習がある)の筆頭と見なされるようになり、その家名はミッドチルダにおいて、唯一、失われしアルハザードの秘術に繋がる者として人々から畏怖されるようになった。

近代に入って貴族階級を駆逐する“市民革命”の勃発と共に再び闇に潜むことになり、その後の消息は現代では明らかにされていない。






※ 中世グレートブリテン島のイングランドとスコットランド間の紛争を一部モデルにしています。写真関係はあくまでイメージとして使用しているのでご注意下さい。
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