忍者ブログ

「魔法少女リリカルなのは」などの二次作品やオリジナル作品を公開しているテキストサイトです。二次創作などにご興味のない方はご遠慮下さい。

[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

東方projectの商標問題
まったく関係ないっちゃあないんですけど・・・

原作者のZUNさん以外の金子某が「東方project」と他一つを商標登録していた問題で、ZUNさんが異議申し立てを行ったところ裁判所に訴えを却下されてしまったそうです。

二次創作活動を細々とやっている当方としてはちょっとというか、かなり複雑な心境です。


やれやれ・・・

拍手

何が複雑なのかを少し補足したいと思います。

ポイントは二つあって、まず一つは「東方projectが完全なオープンソース」であることと、「原作者Zunさんの抗告が認められなかった」という事実です。

東方projectが画期的だったのは「二次創作活動」が公式側によって公認されていたことです。二次創作活動は一次側(版元)との権利関係がかなり際どい状態でした。デ○ズニーのように四角四面なことを言い出せば全てがアウトになってしまいますが、二次創作にコンテンツの延命乃至はフォローウィンドの効果があることは特にメディアミックスベースの単発作品では有形無形に認識されていると思います。一言で言うと相乗効果というやつです。

ただ、二次創作側にも一定数の不心得者もいてグレーゾーン(というかまともに対策されるとほとんどアウトではなかろうかと個人的には思いますが)なのをいいことに露骨に商売に走っている輩が蔓延っているというのも現実です。更には同人の委託業者の中にはそれに輪をかけて阿漕(あこぎ/図々しい、あつかましい)な商売を行って焼け太りしている実態もあります。なんとかキャンパスとかがわりと有名かもしれない。

私は二次創作を全面的に擁護する心算はありません。グレーゾーンという言葉は違法の要素が少なからずあることを認識しているからこそ出てくるものです。一次側の裁量範囲の中で紳士協定的に節度を持って活動することが重要だと思っています(個人的な創作活動の範囲ならまだしも「商売」するなら、という意味で)。

東方projectが「画期的な発想だなあ」と思ったのはいきなり原作者がコンテンツ(設定)をいきなりオープンソースにしてしまったことです。細かい部分ではレギュレーションが存在していたとしても、二次創作活動がまがいなりにも公認されたというのはかなり珍しいケースではないでしょうか?そのお蔭もあって「東方project」はコミケなどで一大勢力を持つようになっています。しかも、その勢いは傍目から見て留まるところを知らない!(というのはオーバー?)と言った感じです。

いずれにしても「東方project」が二次創作を含んだコンテンツビジネスに与えた影響というのは非常に大きいと思います。誰かビジネススクールで研究する人はいないだろうかw

そんな矢先に起こったのが件の「商標問題」です。この問題で個人的に驚いたことが幾つかあります。如何にちょっと列挙してみます。
  • 「オープンソース」を公言しているにも関わらず商標権取得が可能であること
  • 原作者無関係で第三者がただ乗りできること
  • (どんな反論を下のかにもよるけど)原作者の抗告が認められなかったこと
  • 権利は行使しないまでも商標権は原作者が保全のためにケアしないといけないっぽくなってること(公知事実という言葉があってだな・・・)

一番目のポイントは世の中ではありがちな話ですが、個人的な思いが社会的に反映されるとは限らない、ということを示して余りありますね。個人が「権利フリー」を公言していたとしても、それが裁判所やら特許庁の判断で認められるとは限らない、ということでしょうか。特許もさることながら商標・意匠の権利侵害(confriction)の判断はちょっと常人の感覚では理解しがたい判決がちょくちょく出ることは関係者にはわりと知られています。詳細は全然意味が違いますが英国の「サムソンのスマホはi-phoneのデザイン(意匠)を侵害してない。クールじゃないからw」とかいうのは、まあ感覚的に好例になるかもしれませんね。

それにしても・・・HPや各種媒体などで「オープンソース」を謳っていてもあっさり商標登録されるというのは何とも理解に苦しむところです。官報にでも「東方projectは云々」とでも言っておけってことでしょうか・・・基本的に商標などのIP(工業所有権)の要件として「安直に思いつかないもの」「画期的で創造性に富むもの」というがあると思うのですが、既に世の中に相当数が出回っていて、原作者が別に存在しているにも関わらず別人が商標を登録できる、というのはやはり釈然としないものが残りますね。まさに中国で起こった「アップルの商標問題」を髣髴させる出来事です。

商標に限らず特許もそうですが、この類の権利を維持するには「年金」と俗に呼ばれる権利維持の費用を国に収めなければなりません。これは権利の行使の有無に関わらず、固定資産税のごとく持っているだけで払わなければならないシロモノです。これも決して安くはなくてざっくりと数万円/年(経年と共に維持費は増加)の出費になります。当然、商標権を持っている人間は権利行使(ロイヤリティー請求)などをしないと出費がかさむだけです。

商標は通常、商売の実体がなくてロイヤリティーだけを請求する、というのは日本では難しいので、もしかしたらZUNさんはその辺の入知恵を誰かから受けて様子を見ることにしたのかもしれませんね。権利を取得した金子某の意図は測りかねますが、この人物がこの商標で商売をする(あるいはその意思があることを示す)必要があります。黙って寝かしていたら商標が取り消される恐れも出てきますし、前述の通り持っているだけでお金を払わないといけないわけですからね。収入の口があって裕福なら別に痛痒も感じないでしょうけど、一般人ならちょっと痛い出費ですね。
まあ権利を原作者(或いは関係者)に先駆けて取得して買い取らせようとする転売厨の可能性もなくはありませんね(一時期流行った有名ドメインの大量取得に似ていなくもない)。これも原作者側が無視したらどうしようもないです。

いずれにしても「商標」の侵害はその実害がなければ請求権が発生しないので、商標を取得した人は今後、形がある状態で権利行使の方策を考えなければならないでしょうね。

それにしても・・・オープンソースを主張していても第三者がしれっと商標登録できちゃう、ってのはザル法のような気がしないでもないのですが、皆さんはどう思われましたか?



長くなりましたが以上が私の「複雑な心境」ってやつの中身になります。


文責:東郷太一
PR
プロフィール
HN:
Togo
性別:
非公開
文句とかはここに
※事前承諾なしに頂いたコメント内容を公開することは一切ありません。
Copyright ©  -- Initial Fの肖像 --  All Rights Reserved

Design by CriCri / Material by 妙の宴 / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]